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千葉地方裁判所 昭和60年(ワ)379号 判決

原告 大崎浩一

右訴訟代理人弁護士 君塚美明

被告 小川博尉

〈ほか二名〉

右被告ら訴訟代理人弁護士 須藤尚三

主文

一  被告小川博尉は、原告に対し、別紙物件目録(二)記載の建物を収去して同目録(一)記載の土地を明渡し、かつ、金四五万三一一二円及び昭和五九年一二月一九日から明渡ずみに至るまで一か月金一万二六〇〇円の割合による金員を支払え。

二  被告平尾輝美及び被告株式会社平尾工務店は、原告に対し、別紙物件目録(二)記載の建物から退去して同目録(一)記載の土地を明渡せ。

三  訴訟費用は被告らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  主文第一ないし三項と同旨

2  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  訴外大崎鶴吉(以下「訴外鶴吉」という)は、別紙物件目録(一)記載の土地(以下「本件土地」という)を所有していたが、昭和一五年一〇月三一日、訴外大竹とよ(以下「訴外大竹」という)に対し、非堅固な建物の所有を目的とし、次の約定で本件土地を賃貸し、これを引渡した。

(一) 賃貸期間 昭和三五年一〇月三一日まで。

(二) 賃料 一か月一坪当たり金三〇円。

2  右賃貸借契約は、昭和三五年一〇月三一日、従前と同一の条件で更新された。

3  訴外大竹は、本件土地上に、別紙物件目録(三)記載の建物(以下「旧建物」という)を所有していた。

4  被告小川博尉(以下「被告小川」という)は、訴外大竹から、昭和三七年五月二一日、右旧建物及び本件土地の賃借権を買い受けた。

5  訴外鶴吉は、右賃借権の譲渡を承認するとともに、昭和三七年一〇月二九日、右賃借権の内容を明確にするために、被告小川との間において、公正証書をもって以下の合意をした(以下、訴外鶴吉と被告小川との間に締結されたこの契約を、「本件賃貸借契約」という)。

(一) 目的 非堅固な建物の所有

(二) 賃貸期間 昭和五五年一〇月三一日まで

(三) 賃料 一か月一坪当り金三五円の金員を毎月末日限り当月分を持参払い

(四) 増改築等禁止特約 賃借人は、土地の用法又は原状を変更したり、所有建物の増改築もしくは大修繕をするときは、賃貸人の書面による承諾を要する。

(五) 無催告解除特約 賃借人が、その義務に違反したときは、賃貸人は催告を要せず、本件賃貸借契約を解除することができる。

6  被告小川は、昭和三八年六月ころ、本件土地上の南側に旧建物に隣接して別紙物件目録(二)記載の建物(以下「本件建物」という)を建築した。

7(一)  本件賃貸借契約における賃料は、昭和四三年四月から、一坪当たり月額金九〇円に改訂された。

(二) 昭和四五年三月頃、訴外鶴吉は被告小川に対し、同年四月より賃料を一坪当たり月額金一二〇円に増額する旨の意思表示をしたが、被告小川はこれに応ぜず、従前どおり金九〇円宛の金員を持参したので訴外鶴吉がその受領を拒否したところ、以後今日に至るまで一坪当たり月額金九〇円宛の金員の供託を続けている。

(三) ちなみに、昭和四八年における地代家賃統制令による統制地代月額は、一坪当たり金三四九円である。

(四) 昭和四八年度の統制地代の約四分の一という極端に低額な金員の供託を、一五年以上もの長期にわたって漫然と続ける被告小川の態度は、著しく信義と誠実さに欠け、賃貸借関係において要求される信頼関係を破壊するものであり、したがって、右の供託は、賃料債務の支払として適法な弁済供託とはいえない。

8  訴外鶴吉は、昭和四九年一二月二八日に死亡し、原告は、相続により本件土地の所有権を取得し、本件賃貸借契約の賃貸人の地位を承継した。

9  本件賃貸借契約は、次のいずれかの理由により終了した。

(一) 建物朽廃による終了

(1) 本件賃貸借契約は、非堅固な建物すなわち旧建物の所有を目的とするものであり、堅固な建物である本件建物は、被告小川が訴外鶴吉に無断で建築したもので、本件賃貸借契約の目的となっていない。

(2) 本件賃貸借契約は、昭和五五年一〇月三一日の経過をもって法定更新された。

(3) 旧建物は、昭和五九年一二月一四日朽廃した。

(二) 契約解除による終了

(1) 特約違反

被告小川は、5(一)、(四)記載の特約に違反して、6記載のように本件建物を建築した。

(2) 賃料不払

被告小川は、7(二)記載のように、昭和四五年より、一坪当たり月額金九〇円宛の金員の供託を続けているが、右供託は、7(三)、(四)記載のように適法な弁済供託とはいえない。

(3) 解除通知

原告は、昭和五九年一二月一九日被告小川に到達した内容証明郵便をもって、右(1)及び(2)を理由として、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。

10  被告平尾輝美及び被告株式会社平尾工務店は、本件建物を事務所として使用し、もって本件土地を占有している。

11  昭和五九年一二月以降の本件土地の地代相当額は、一坪当たり月額金三四九円を下ることはない。

よって、原告は、被告小川に対しては、本件賃貸借契約の終了による原状回復請求権に基づき、本件建物の収去と本件土地の明渡並びに昭和四九年一二月二八日から昭和五九年一二月一八日までの賃料の合計金四五万七九二七円(一坪当たり月額金九〇円で計算)のうち、金四五万三一一二円及び昭和五九年一二月一九日から明渡ずみに至るまで、一か月の地代相当額金一万四六五八円(一坪当たり月額金三四九円で計算)のうち、一か月金一万二六〇〇円(一坪当たり月額金三〇〇円)の割合による損害金の支払を、被告平尾輝美及び被告株式会社平尾工務店に対しては、本件土地の所有権に基づき、本件建物から退去して本件土地を明渡すことを、それぞれ求める。

二  請求原因に対する答弁

1  請求原因1ないし6の各事実は認める。

2  同7のうち、(一)及び(二)の各事実は認める。(三)の事実は不知、(四)の事実は否認する。仮に、被告小川の供託額が著しく低額であったとしても、その責任は、訴提起による適正地代額の確定を怠った原告側の責任である。地代の増額に努力する借地人などいるはずがないであろう。

3  同8の事実は認める。

4  同9のうち、

(一) (一)の(1)及び(3)の各事実は否認し、(一)の(2)の事実は認める。

(二) (二)の(1)のうち、被告小川が本件建物を建築したこと、(二)の(2)のうち、被告小川が一坪当たり月額金九〇円宛の金員の供託を続けていること、並びに(二)の(3)の事実は認めるが、その余の事実は否認する。

5  同10の事実は認める。

6  同11の事実は不知。

三  抗弁(請求原因9(一)(1)並びに同9(二)(1)に対して)

1  被告小川が、訴外大竹から旧建物を買受けた際、同建物の道路に面した側は、自動車が飛び込んだために破壊されていた。

2  そのため、被告小川は、訴外鶴吉から、同人との間で請求原因5記載の合意をした際、右旧建物の破壊された部分についてブロック建築で復旧工事をしてもよいとの承諾をもらい、その旨の条文を公正証書第六条として挿入してもらった。

3  本件建物は、右合意に基づいて建築されたものであるから、請求原因5(一)、(四)記載の特約に触れるものではなく、したがって、あらためて5(四)記載の書面による承諾を要しないのである。

4  仮に、右3が認められないとしても、本件建物の建築について、訴外鶴吉は、次のとおり書面でこれを承諾している。すなわち、

(一) 被告小川は、本件建物完成後である昭和三八年六月一八日、千葉地方法務局船橋出張所に対し、家屋台帳法に基づく家屋建築申告書を提出した(当時は、登記簿と台帳との一元化前であり、まず台帳に記載されたうえで、所有権保存登記がなされる取扱いであった)が、訴外鶴吉は、右申告書に土地所有者として記名押印しているのである(乙第一号証)。

(二) 右訴外鶴吉の記名押印は、直接には、自己の所有地上に、本件建物が建てられたことを証明するという趣旨であり、直接本件建物の建築を承諾する旨の文言はないが、不承諾であれば、家屋建築申告書に記名押印をするはずがないから、承諾したことを示すものというべきである。

このことは、訴外鶴吉の生存中、同人から一度も本件建物の建築について異議がなかったことからも明らかであるというべきである。

四  抗弁に対する答弁

1  抗弁1及び2の各事実は認める。

2  同3及び4の各事実は否認する。

被告小川は、乙第一号証について、旧建物の破壊されていた部分をブロック建築で復旧させるための工事の建築届であると偽って訴外鶴吉に捺印させたものであり、また、乙第一号証の構造欄の欄外に「鉄筋コンクリート」と記入されているのは、被告小川が後に勝手に書き加えたものである。

第三証拠《省略》

理由

一  請求原因1ないし6の各事実、同7の(一)及び(二)の各事実、同8の事実は、いずれも当事者間に争いがない。

二  そこで、請求原因9(本件賃貸借契約の終了)の主張について判断する。

1  建物朽廃による終了について

(一)  本件賃貸借契約が昭和五五年一〇月三一日の経過とともに法定更新されたことは当事者間に争いがなく、右更新後の昭和五九年一二月頃旧建物が朽廃したことは、《証拠省略》によってこれを認めることができる。

(二)  そこで、旧建物の南側に接して建てられた本件建物が、本件賃貸借契約の目的にはなっていない旨の主張(請求原因9(一)(1))について検討する。

(1) 昭和三七年一〇月二九日被告小川と訴外鶴吉との間で合意された本件賃貸借契約が、非堅固な建物の所有を目的としたものであることは、当事者間に争いがない。

(2) 然るに、本件建物は、その構造が「鉄筋コンクリートブロック造」であるから、借地法二条にいう堅固な建物である、というほかない。けだし、借地法二条にいう堅固な建物とは、木造建物等の非堅固な建物に比して耐久性と堅牢性が高く、その程度が、石造、土造、煉瓦造並みかもしくはそれ以上のものをいうと解されるところ、「鉄筋コンクリートブロック造」が、右の水準に照らして堅固な建物であることは明らかだからである。

(3) しかも、本件賃貸借契約において、賃借人が土地の用法又は原状を変更したり、建物の増・改築等をするときには、賃貸人の書面による承諾を要する旨合意されたことは、前示のとおり当事者間に争いがない。

(4) したがって、訴外鶴吉が、本件建物の建築について、あらためて書面による承諾をした場合に限り、本件建物が本件賃貸借契約の目的となり、そうでない場合には、特段の事情がない限り、本件建物は本件賃貸借契約の目的外として、その存在が、本件賃貸借契約の帰趨に影響を及ぼすことはない、というべきである。

(5) そこで、以下、本件建物の建築について、訴外鶴吉の承諾を得た旨の被告らの抗弁について判断する。

(イ) 抗弁1及び2の各事実は、いずれも当事者間に争いがない。

(ロ) ところで、被告らは、本件建物は、予め訴外鶴吉から承諾してもらった旧建物の破壊されていた部分のブロック建築による復旧工事であるから、あらためて訴外鶴吉の承諾をもらう必要はないと第一次的的に主張するが、本件建物は、その構造が「鉄筋コンクリート造」であって、いわゆる堅固な建物に該当するうえ、旧建物とは別棟の独立の建物として建築されたものである(《証拠省略》によってこれを認める)から、あらためて訴外鶴吉の書面による承諾を必要とする(請求原因5(一)、(四)の特約に触れる)ことは明らかであるというべきである。

(ハ) 右(イ)の事実と右(ロ)に認定した事実、及び《証拠省略》を総合すると、以下の事実を認めることができる。すなわち、被告小川は、もともと本件建物の建築については、予め訴外鶴吉の承諾を得ていた旧建物の破壊されていた部分のブロック建築による復旧工事としてこれを計画したものであり、訴外鶴吉にもその旨説明して、昭和三八年三月二〇日建築確認を受けたうえ工事に着工し、同年四月五日、建築予定の建物を抵当に入れて建築資金を融資してもらうため銀行へ提出する土地使用承諾書(乙第二号証の一)の訴外鶴吉名下に押印をしてもらった。また、同年六月、本件建物が完成した後、被告小川は、千葉地方法務局船橋出張所に対し、家屋建築申告書(乙第一号証の一)を提出したが、右申告書の訴外鶴吉の名下にも同人の印鑑を押印してもらった。しかしながら、被告小川は、訴外鶴吉に対し、本件建物について、その構造が鉄筋コンクリート造であるとか、旧建物とは別棟の独立の建物として建築するものであるとかの事実を説明していなかった。そのため、被告小川は、前記家屋建築申告書において、家屋番号を旧建物の番号である六二五番と記載したり、構造欄に「ブロック造陸屋根二階建」と記載して、訴外鶴吉の捺印をもらった(乙第一号証の一の構造欄の欄外に「鉄筋コンクリート」の記載があるが、通常、長い言葉や用語が所定の欄内に書ききれない場合に欄外にはみ出ることとなるのは、当該言葉や用語の終わりの部分であるのが普通であり、本件のように、「鉄筋コンクリートブロック造陸屋根二階建」という言葉の冒頭部分である「鉄筋コンクリート」という部分が欄外にはみ出て記載されているのは極めて不自然であり、この部分は、被告小川が、訴外鶴吉から同人名下に押印をしてもらった後に書き加えたものと推認すべきである)。

(二)  右認定事実によれば、乙第一号証の一及び同第二号証の一が作成されたことにより、訴外鶴吉が、被告小川において本件土地上に本件建物と同規模のブロック造建物を旧建物の復旧工事として建築することを書面で承諾したことは明らかであるが、右建物が旧建物と別棟の独立の建物であること、殊にその構造が鉄筋コンクリート造であることについては、これを承諾したことを認めるに足らないものといわなければならない。

(6) 以上のとおり、本件建物の建築について、訴外鶴吉が完全にこれを承諾していたと認めることはできないが、他方、本件建物の完成後、訴外鶴吉が被告小川の非を厳しく咎めた形跡もこれを認めるに足りる証拠がない。そして、本件建物が完成してすでに二〇年以上の歳月が流れた。これらのことと、前示のとおり訴外鶴吉は、もともと本件建物と同規模程度で旧建物の復旧工事をブロック建築で行うことまでは承諾していたこととを合せ考えれば、黙示のうちに、本件建物は、いつしか本件賃貸借契約の目的の中に取り込まれたものと解するのが相当である。

したがって、本件建物が本件賃貸借契約の目的に入っていないとし、旧建物の朽廃により、本件賃貸借契約が当然終了した旨の原告の主張は採用し得ない。

2  契約解除による終了について

(一)  原告主張のとおり契約解除の意思表示がなされたことは、当事者間に争いがない。

(二)  特約違反について

(1) 被告小川が、本件建物の建築について、その構造を鉄筋コンクリート造とし、旧建物と別棟の独立の建物としたことの二点において、訴外鶴吉の書面による承諾を得たことを認めるに足りる証拠がないことは、前記1(二)(5)に判示したとおりである。

(2) しかしながら、前記1(二)(6)に判示した事情に鑑みると、右の特約違反のみでは、未だ賃貸人に対する信頼関係を破壊したものと認めるには足りないものというべきである。

(三)  賃料不払について

(1) 請求原因7の(一)及び(二)の各事実は、いずれも当事者間に争いがない。

(2) ところで、借地法一二条二項は、賃料の増額請求がなされても、当事者間に協議が調わないときは、借地人は、増額を正当とする裁判が確定するに至るまでは、「相当と認める地代」を支払えばよい旨規定している。そして、右にいわゆる「相当と認める地代」とは、客観的な適正額ではなく、原則として、「借地人が相当と認める地代」でよいと解される。けだし、借地法一二条二項はその後段において、増額を正当とする裁判が確定したときには、既払額との差額と、それに対し年一割の割合による支払期後の利息を支払わなければならない旨規定し、同条同項前段において、借地人が自ら相当と認める地代を支払えばよいとしたこととのバランスをはかっているものと解されるからである。

しかしながら、いくら原則として「借地人が相当と認める地代」でよいといっても、その額がいくらでもよい、というわけではなく、その額が特段の事情もないのに従前の地代額よりも低い額であったり、適正地代額との差があまりにも大きいとき等には、債務の本旨に従った履行という評価をすることができず、背信行為ありとして契約解除の効力を認めるべき場合もあり得るものといわなければならない。

(3) そこで、これを本件についてみてみるに、被告小川は、昭和四五年より一坪当たり月額金九〇円宛の地代を今日まで一五年以上にわたって供託し続けているところ、《証拠省略》によれば、すでに昭和四八年の時点で、右供託額は、同年度における地代家賃統制令による統制月額地代(一坪当たり金三四九円)の約四分の一という著しい低額であることが認められる(地代家賃統制令は、同令二三条二項二号により、昭和二五年七月一〇日以後に新築に着手された建物の敷地の地代については適用がないので、昭和三八年に建築された本件建物を前示のように本件賃貸借契約の目的にとり込んで解釈する場合には、同建物の敷地部分の地代については、前記統制令の適用がないことになるから、前記被告小川の供託額と適正地代額との差額は、より一層甚だしいものとなろう)。

以上のように、非常に長い期間にわたり、一見して「著しい低額」であると認識し得べき金額を漫然と供託し続ける被告小川の態度は、明らかに常識を欠いたものであり、賃貸借関係において要求される信義を欠いたものというべきである。もとより、この点について、原告側においても、昭和四六年八月に市川簡易裁判所に対し賃料増額確認等請求調停事件を申立てたものの、何らの成果も見られないまま右申立を取下げ(《証拠省略》によってこれを認める)、以後増額を正当とする裁判を求める訴訟を提起する等の行為に出ていないのは、それなりの落度として非難に値しよう。しかし、このことを十分考慮に入れても、前記被告小川の供託は、その額があまりにも低額に過ぎ、適正地代額との差が極端に大き過ぎること、しかもそのような低額の金員の供認をあまりにも長期間漫然と続け過ぎてきたこと等を考えると、債務の本旨に従った賃料の支払と評価し難いものといわざるを得ず、このことと、本件建物の建築が、前記二1(二)に判示したとおり、請求原因5の(一)及び(四)の特約に違反してなされたものであること、並びに弁論の全趣旨から窺われる被告側の態度等とを総合考慮すると、原告と被告小川との間においては、すでに賃貸借関係において要求される信頼関係が破壊されたものというほかはなく、契約解除の効力を認めるのが相当である。

三  請求原因10の事実は、当事者間に争いがない。

四  請求原因11の事実は、《証拠省略》によりこれを認めることができる。

五  そうすると、原告の本訴各請求は、いずれも理由があるからこれを認容するが、仮執行宣言は相当でないからこれを付さないこととし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九三条をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 増山宏)

〈以下省略〉

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